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はじめに:ChatGPT本体はかなり良くなった
最近、またChatGPTをよく使うようになりました。少し前までは文章作成なら他のAIを使うことも多かったのですが、最近のChatGPTは文章がかなり自然になっています。画像生成も良くなりましたし、普通に会話しながらブログ記事を詰めていく作業はかなりやりやすいです。
ただ、しばらく使っていると気になることもあります。普通のChatGPTと話している間はかなり話が通じるのに、GPTからWorkに仕事を投げたり、Codexなど別の機能へ移った途端、「あれ、さっきまでの話どこ行った?」となることがあります。
今回、それをかなり実感する出来事が続きました。
英語記事を100本作ろうとしたら、Workで微妙に話が変わった
運営しているサイトで英語版を作ることにしました。日本の政府統計などを使って、地域ごとの世帯年収などをまとめているサイトです。記事を英語化するにあたり、ChatGPTとは事前にかなり細かく話をしていました。
- 単純な直訳ではなく、英語として自然にする
- ただし統計記事なので、数字や表は勝手に変えない。注意書きや出典なども残す
- 元記事にない分析を追加したり、勝手に要約したりもしない
普通のChatGPTとの会話では、この辺りの意図はかなり正確に伝わっていました。記事数が多かったので、一括処理するためにGPTが「Workへ渡しますね」と言って、Workで作業させることになったのですが、完成した英語記事を確認すると、少し様子が違いました。
英語自体は悪くありません。数字も多くは合っています。ところが、日本語版にあった細かい注意事項が省略されていたり、出典が簡略化されていたり、逆に元記事にはなかった章を勝手に追加している記事までありました。
元記事を英語として自然に翻訳することを頼んだのに、省略されたり、勝手に追加されたりしたらたまったものではありません。もちろん、Work自体の能力が低いと断定したいわけではありません。大量のファイルを処理して成果物をまとめる能力自体は便利です。
私が気になったのは、それまで普通のChatGPTと積み重ねてきた細かい話が、Workへ渡した瞬間に薄くなったように感じたことでした。ChatGPTが別のモード(ツール)に移行する際、裏側では「別のシステムプロンプトを持ったAI」にタスクが引き継がれています。その際、これまでの会話履歴(コンテキスト)の全てが渡されるわけではなく、AIが勝手に要約した指示書だけが渡される仕組みになっているようです。そのため、「元の記事の出典を残す」といった微細なニュアンスが、伝言ゲームのように欠落してしまい、上記のようなことが起こったのだと思われます。
Gensparkのチャット画面でも、長時間使い続けるとコンテキストが薄れていく感覚を味わったことがありますが(こちらの記事で詳しく触れています)、今回のWorkへの引き継ぎは、それとはまた違う「別のAIに乗り換わる瞬間に情報が減る」というタイプの問題に感じました。
大量処理は「完成したように見える」のが怖い
今回のような作業で怖いのは、100本の記事がちゃんとファイルになって返ってくると、それだけで「できた」と思ってしまうことです。文章も読めるし、ファイル名も揃っている。ぱっと見では問題がありません。
ところが元の記事と比較すると、
- 「この注意書きがなくなっている」
- 「この出典が簡略化されている」
- 「ここは元記事にない話だな」
という違いが出てきます。1記事ならすぐ気付きますが、100記事をまとめて処理すると、細かい部分まで全部を目視確認するのはかなり時間がかかります。AIに大量処理を任せる場合、処理能力そのものより「指示通りのものが100個できているか」をどう確認するかの方が難しいのかもしれません。
単純な処理や、計算ならいいのですが、文章作成などはWorkに渡して品質が落ちるのは嫌なので、「Workに仕事を渡さないで、時間がかかってもいいので、このチャット画面で処理してください」と指示するようにしています。
Codexでも似た違和感がある
私はPCアプリのChatGPTの左上から、普通のChatGPTとCodexを切り替えて使っています。Codexはコードを直したり、リポジトリ内のファイルを探したり、テストを実行したりする用途では便利です。ただ、文章を書かせたり、少し曖昧な指示を出したりしたときは、普通のChatGPTより文脈を取り違えることが多いように感じています(これは私の使い方によるところもあると思いますが)。
Codexはプログラムを修正するための環境なので、会話のニュアンスより「何を変更するか」「どのファイルを触るか」を強く見ているのかもしれません。それでもユーザー側からすると、同じChatGPTの中で切り替えているので、普通のChatGPTと同じ感覚で話してしまいます。その結果、
- 「いや、そこを変えてほしいとは言ってない」
- 「さっき説明した前提が抜けている」
となることがあります。最近は、仕様や文章の整理は普通のChatGPTで行い、実際のコード修正だけCodexに任せることが多くなりました。
使っていて一番不思議なのは、なぜユーザー自身がChatGPTとCodexを切り替える必要があるのか、ということです。私としては、普通のChatGPTと話しながら仕様を決めて、「じゃあこれを実装して」と言えば、それまでの会話を整理したうえでChatGPTがCodexへ作業を渡してくれれば一番良いのですが。Codexがコードを直してテストを行い、その結果だけ元の会話に戻してくれる。その方がずっと自然に感じます。今は、ChatGPTに「Codexに渡す指示を書いて」と頼み、それを自分でCodexへ貼り付けなければいけません。
コード修正まわりに関して言えば、今のところはClaude Codeの方が「指示したことから次の作業を自分で続けてくれる」感覚が強く、私自身の開発作業のメインはそちらに寄っています。
サイトを見てもらったら、何度も古い状態を見ていた
今回もう一つ気になったのがWebサイトの確認です。サイトをかなり修正したあとで、「変なところがないかサイトを確認してください」とChatGPTに頼みました。すると、「このページはまだ古いです、修正されていません」と指摘されました。
ところが、自分のブラウザではすでに直っています。以前、別のブログでも似たことがありました。更新済みの記事を見てもらったはずなのに、ChatGPTが古い本文を読んで「まだ修正されていません」と判断していたことがあります。
そこで、「検索結果のキャッシュじゃなくて、curlで直接取りに行ってください」と指示し、curlで見たら更新されていたということで事なきを得ました。今後サイトを見るときは、古い検索結果や取得済みの内容ではなく、最新の公開ページをcurlで直接取得するよう設定にも保存してもらいました。
ところが、別の修正をして、その直後にまた古い状態を見て、「ページはまだ直っていません」と言われました。もちろん、こちらでブラウザで見たものは直っています。「だからcurlしろって設定に書けって言ったじゃん」と言いましたが、確認すると、「直接取得する」「キャッシュを避ける」という方針は保存されていたものの、「まずcurlを使う」とまでは明記していなかったようです。
Claude CodeやGeminiではこういったWeb確認での問題は起こらなかったので、GPT特有の癖かもしれません。
設定に書くだけで、その次をやらない
この一連のやり取りで別の部分も気になりました。私が「今後こうして」と言って、ChatGPTが「設定に保存しました」と返す。その設定が今の作業にも関係しているので、そのままもう一度サイトを確認してほしいんですが、設定だけ修正して、実際の確認作業は行ってくれませんでした。
一つ一つの質問に答える能力はかなり高くなっていますが、仕事は一問一答では終わりません。サイトを直したら確認する。まだ問題があれば直す。設定を変えたら、その設定で再実行する。人間からすると自然につながっている作業でも、AI側では細かく分断されることがあるようです。
Claude Codeなどを使っていて便利だと感じるのは、指示したことから必要な次の作業をある程度続けてくれる点です。この「次に何をすべきかを考えて続ける力」は、モデルの賢さとはまた別の能力なのだと思います。
GPT本体の能力と、ツールを使う能力は別なのかもしれない
今回の経験を振り返ると、単発で文章を書いてもらったり、壁打ち相手として使うChatGPTにはかなり満足しています。相談しながら仕様を決めるのも楽ですし、ブログ記事の文章も以前より良くなりました。画像生成も使うことが増えています。
困るのは、ChatGPTから別の機能へ移ったときです。Workに大量処理を任せると、細かな意図が薄くなることがある。Codexはコード作業には便利でも、会話の文脈を取り違えることがある。Webサイトを確認させると、更新前のページを見てしまうことがある。
こうして見ると、「GPTというモデルがどれだけ賢いか」と「そのGPTが外部の道具をどれだけ上手に使えるか」は、分けて考えた方がいいのかもしれません。
モデル比較ではベンチマークの数字などの話題になりますが、実際の仕事ではツールとのつながり方もかなり重要です。どれだけ文章が上手でも、別の機能へ移った瞬間に文脈が切れれば使いにくい。多少賢さで劣っていても、こちらの目的を覚えたまま最後まで作業してくれる方が便利な場面もあります。
PowerPointまで作れるようになっていたのは驚いた
今回ChatGPTを使い直していて、逆に「こんなことまでできるようになったのか」と感じたこともありました。PowerPointです。
私はこれまでプレゼン資料を作るとき、Gensparkをよく使っていました。ChatGPTは構成や文章を考えるところまではできても、以前は実際のPowerPointファイルを作れなかったからです。今はChatGPTでも.pptxまで作れるようになっています。
Gensparkは今でもプレゼン作成がかなり強いと思っていますが、ChatGPT側で構成、文章、画像、PowerPointファイルまで作れるなら、以前ほど大きな差ではなくなってきました。この辺りはAIサービスの変化が本当に速いところで、数か月前まで「この用途ならこのAI」と思っていたものが、気付いたら別のAIでもできるようになっていることがあります。
私なりのAI使い分け
しばらくChatGPTを使ってみて、今は次のような使い分けに落ち着いています。
- 文章を書いたり、仕様を考えたり、何をするか相談するところまではChatGPTで進める
- コードを実際に直す必要が出たらClaude Codeを使う
- Workにはなるべく作業を振らせない
普通にChatGPTと話しているだけで、必要なら裏でCodexを使い、ファイル処理が必要ならWorkを使い、Webサイトを見るなら最新ページを取りに行く……それで結果だけ元の会話に戻ってくる、ということですよね。
まとめ
ChatGPT本体は、文章力・画像生成・相談相手としての能力がかなり上がってきています。一方で、Work・Codexといった別の機能に処理を渡した瞬間、それまで積み上げてきた細かい文脈が薄れてしまうことがある、というのが今回改めて実感したことでした。
大量処理を任せるときは「完成したように見える」結果を鵜呑みにせず、元の内容と突き合わせて確認する。Web確認をさせるときは、キャッシュではなく最新ページを直接取得させる。設定に保存しただけで満足せず、実際にその設定で動いているか都度確認する。地味ですが、こうした一手間が今のところは必要そうです。
ChatGPT本体がかなり良くなってきただけに、私はむしろこの「ツールに移った瞬間の人格の変わり方」の方が気になるようになりました。コンテキストが薄れる問題そのものは他のAIツールでも起こり得る話なので、大量処理や複数ツールを併用する際は、この記事の内容も参考にしていただければと思います。


