ChatGPTを仕事で使っていて、以前から不満に感じていることがあります。それは、メインチャットからWorkなどの別機能に作業を引き継がせると、途端におかしなことをする場合があるという問題です。

ChatGPTのメインチャットでは何度もやり取りして、こちらの意図や細かい条件まで理解しているはずなのに、いざWorkに作業を任せると、重要な指示が抜け落ちていたり、まったく違うものを作ってきたりします。

もちろん、Workには便利な機能もあります。ブラウザ操作やファイル編集など、通常のチャットでは難しい作業ができるのは魅力です。

しかし、私の場合はWorkに引き継いだことで作業がスムーズになったというより、余計な修正や説明が必要になった経験が何度もあります。

最近は、権限や機能の問題がなければ、なるべくWorkに引き継がせず、メインチャットでそのまま作業してもらうようにしています。

なぜそう考えるようになったのか、実際に経験した失敗を紹介します。

この記事を3行でまとめると

  • ChatGPTでWorkに作業を引き継ぐと、指示した条件が抜け落ちたり、違う成果物が出来上がったりする失敗を繰り返し経験した
  • 翻訳での原文改変、Canva形式の不一致、マニュアルの画像配置ミス、進捗確認ができない問題、画像生成での合体ミスなど、具体的な失敗事例を紹介する
  • 権限や機能上の理由がなければ、Workに引き継がせずメインチャットで完結させる方が結果的にスムーズな場合が多い
エリィ

ChatGPTのWork、便利そうですけど実際どうですか?

山口

便利な場面もあるんですが、正直何度も痛い目に遭ってます。

エリィ

痛い目、ですか?

山口

はい。具体的にどんな失敗があったか、順番に紹介しますね。

1. 英語翻訳をWorkに任せたら、原文を勝手に変更された

2026年8月、大量の日本語記事を英語に翻訳する作業をChatGPTに依頼しました。

翻訳するだけなので、それほど難しい作業ではないと思っていました。しかも、記事には数値や表、出典などが含まれており、それらを保持する必要があります。

ところが、Workに作業を任せて途中まで完成した約60記事を確認したところ、原文を勝手に短縮したり、構成を変更したりしていることが分かりました。

例えば、原文に存在しない「Housing and infrastructure implications(住宅・インフラへの影響)」という見出しが追加されていました。一方で、元の記事に記載されていた出典やe-Statの統計表IDなどが抜け落ちていました。

記事に書かれていない内容を追加するのは、もはや翻訳ではありません。

しかも、出典を削除してしまっては、統計データを扱う記事として問題があります。

結局、そのまま公開するわけにはいかず、通常のChatGPTで原文を基準に翻訳し直す方針に変更しました。

このとき改めて指示したのは、数値、表、注意書き、出典、統計IDを保持し、勝手な追加や要約をしないということです。

本来、翻訳を依頼するなら当然守ってほしい内容だと思います。

大量の記事を一括処理してくれるのは便利ですが、完成した記事をすべて確認しなければならないのであれば、効率化できたとは言いにくいところです。

2. Canvaで編集できる画像を頼んだのに、ただの画像が出来上がった

2026年10月には、企業のInstagram用画像をCanvaで編集できる形にする作業を依頼しました。

もともと作成していたデザインがあり、それを忠実に再現したうえで、文字や写真をCanva上で個別に編集できるようにしてほしいという依頼です。

この「編集可能」という条件が重要でした。

ところが、Workで作成されたものは、以前のデザインと大きく異なっていました。

そこで、Workではなくメインチャットで1枚ずつ作成するよう依頼し直しました。

さらに困ったことに、編集できるデータを求めているにもかかわらず、また画像だけが作られてしまいました。

思わず「なんでまた画像だけつくった?」と指摘しました。

文字と写真が一体化したPNG画像では、後からCanvaで個別に編集することができません。

見た目が少し違うという程度の問題ではなく、最初から求めていた成果物と違うものが出来上がっているわけです。

しかも、こちらは一度指摘しているのに、似たような失敗が繰り返されます。

指示を理解したと返答することと、その指示どおりに作業できることは、どうやら別の話のようです。

3. マニュアル作成では、スクリーンショットの位置がおかしい

別の案件では、ストレスチェックや企業向け診断システムの操作マニュアルを作成していました。

受検者、実施者、企業管理者、部署管理者、スーパーユーザーという5種類の利用者に向けて、PowerPoint形式でマニュアルを作る作業です。

画面のスクリーンショットも必要なので、システムの画面を理解しながら適切な場所に画像を配置する必要があります。

Workに依頼したものの、スクリーンショットを配置する位置がおかしく、期待するマニュアルになりませんでした。

そこで、Workに渡さず、メインチャット自身が内容や画像を理解しながら作成するよう依頼しました。

このような仕事では、単にPowerPointファイルを作れるだけでは不十分です。

どの画面を、どの説明に対応させるべきか。システムの操作手順とスクリーンショットの関係を理解していなければ、分かりやすいマニュアルにはなりません。

Workに渡すと、それまでのチャットで説明した背景や仕様が十分に反映されないことがあると感じています。

4. Workに作業を引き継ぐと、メインチャットが進捗を把握できない

もう一つ困るのが、作業を引き継いだ後の進捗管理です。

前述のマニュアル作成では、Workに作業を引き継いだ後、メインチャットに「終わった?」と質問しました。

ところが、メインチャット側ではWorkの進捗や完成ファイルを確認できないという回答でした。

自分で作業を引き継いでおきながら、その後どうなったのか分からないというのは、使っている側からすると不便です。

もちろん、Work側の画面で作業を確認できる場合はあります。しかし、元のチャットに戻っても、引き継ぎ先の状況が分からないのであれば、一連の作業を任せている感覚にはなりません。

ChatGPTには、単に仕事をほかの機能に渡すだけでなく、その結果まできちんと管理してほしいところです。

5. Workだけではない。画像生成でも同じような失敗が起きる

この問題は、Workだけで発生しているわけではありません。

先日、ブログ記事のアイキャッチ画像をChatGPTに作成してもらいました。

日本語版と英語版の記事があるので、それぞれのアイキャッチ画像を作ってほしいと依頼したところ、出てきたのは日本語版と英語版を上下に合体した1枚の画像でした。

記事は別々なのですから、画像も別々に作るのが普通だと思います。

しかも、ChatGPT自身が間違いに気づいて「別々に作り直す」と言ったにもかかわらず、再び合体した画像を作ってしまいました。

実は、このようなことは今回が初めてではありません。

複数の画像を作成してもらうと、数回に一回くらいの感覚で、複数の画像を1枚に合体させてしまうことがあります。

そのたびに「1枚ずつ作ってください」「合体させないでください」と指示する必要があります。

なぜ、そんな当たり前のことを何度も説明しなければならないのでしょうか。

今回の画像生成はWorkへの引き継ぎではありません。画像生成機能を呼び出した際の失敗です。内部の処理もWorkとは異なります。

ただ、どちらもメインチャットで依頼した内容が、実際の作業結果に正確に反映されないという点で、似た問題を感じています。

画像生成AIの能力が向上し、精巧な画像が作れるようになっているのに、成果物を何枚に分けるかという基本的なところで失敗するのは、なんとも不思議です。

6. 原因は引き継ぐ側なのか、引き継がれる側なのか?

ここまで何度も失敗していると、なぜこんなことが起きるのか気になります。

私が疑っているのは、メインチャットから別の機能に作業を引き継ぐ際の情報の伝え方です。

Workに渡される指示を見ていると、それまで長々と相談して決めた仕様が、ずいぶん短い文章にまとめられていることがあります。

もちろん、画面に表示されている指示が、内部で実際に渡される情報のすべてとは限りません。

しかし、重要な条件を満たしていない成果物が出来上がることを考えると、必要な情報が十分に伝わっていないのではないかと疑いたくなります。

一方で、受け取る側にも問題があるように思います。

例えば、編集可能なCanvaデータを依頼されているのにPNG画像を作ってしまう。日本語版と英語版の画像を求められているのに、合体した1枚の画像を作ってしまう。

引き継がれた情報が不足しているのか、受け取った指示の解釈がおかしいのか、あるいは作業結果の確認が不十分なのか。

内部処理を確認できないので原因は断定できませんが、少なくともユーザーが求めたものと成果物が一致しないケースが繰り返されています。

そして、一度間違いを指摘した後も、同じような失敗を繰り返すことがあります。

私にとっては、この修正の効かなさも大きな問題です。

なお、ChatGPT本体は賢いのに、WorkやCodexを使うと話がズレるという弱さについては、別の記事でも詳しく取り上げています。今回の失敗事例とあわせて読むと、ChatGPTのツール連携がどのあたりで崩れやすいのか、より具体的にイメージできると思います。

7. 私が実践している対策:なるべくWorkに引き継がせない

こうした経験から、最近はChatGPTに作業を頼むときの方法を変えています。

基本的には、メインチャットで実行できる作業なら、そのままメインチャットで完結させるようにしています。

文章の作成や修正、調査、分析、画像生成など、通常のチャットで対応できる作業であれば、わざわざWorkに引き継がせる必要はありません。

一方で、Workには通常のチャットにはない機能もあります。

ブラウザを操作して複数の作業を実行したり、ローカルのファイルを直接編集したりする場合などは、Workを使う方が適しています。

問題は、Workを使う必要がない場面でも、メインチャットからWorkへの引き継ぎが発生することです。

特に避けたいのは、メインチャットで何度もやり取りして複雑な仕様を決めた後、そのままWorkに作業を渡す方法です。

これまでの経験では、こうした引き継ぎで条件の抜け落ちや認識違いが発生しやすいと感じています。

重要

権限や機能の問題がなければ、ChatGPTのメインチャットからWorkなどに作業を引き継がせず、そのまま作業を進めた方が効率的な場合が多いです。Workが必要なら使えばよいのですが、何でもWorkに渡した方がうまくいくとは限りません。

どうしてもWorkが必要な場合は、最初からWorkで作業を進めるか、作業内容を明文化してから直接依頼する方がよいと思います。

また、引き継ぎ時の指示内容を確認できる場合は、重要な条件が含まれているかチェックしておくと失敗を減らせるかもしれません。

とはいえ、本来はそこまでユーザーが気にする必要はないはずです。

なお、Claude Coworkを3週間・画像500枚・記事執筆で実際に使ってみた記事も書いているので、「他のAIのエージェント機能はどうなのか」が気になる方はあわせて参考にしてください。

ちなみに、今回取り上げたのは作業の引き継ぎに関する問題ですが、ChatGPTデスクトップアプリのスクロールバーが消える不具合など、表示まわりの細かい不具合に遭遇したこともあります。

エリィ

結構いろんなパターンで失敗してるんですね。

山口

そうなんです。だから今は、よほどの理由がない限りWorkに渡さないようにしています。

まとめ:AIの能力だけでなく、作業を引き継ぐ能力も改善してほしい

ChatGPTの性能は、以前と比べてかなり向上しています。プログラミングや文章作成、画像生成など、実際の仕事に使える場面も増えました。

それだけに、作業を別の機能に渡した途端、簡単な指示まで守られなくなるのは残念です。

私が経験しただけでも、英語翻訳での原文改変、Canva制作での形式違い、マニュアルへの不適切な画像配置、Workの進捗確認ができない問題、画像生成での合体画像など、さまざまな失敗がありました。

もちろん、これらすべてが同じ技術的原因で発生しているとは限りません。

しかし、利用者からすれば、最初に説明した条件が最後の成果物まで守られることが重要です。

今のところ、私の結論はシンプルです。

権限や機能の問題がなければ、ChatGPTのメインチャットからWorkなどに作業を引き継がせず、そのまま作業を進めた方が効率的な場合が多い。

Workが必要なら使えばよいのですが、何でもWorkに渡した方がうまくいくとは限りません。

AIにはもっと複雑な仕事を任せられるようになってほしいと思っています。そのためにも、まずは既に説明した内容を正確に引き継ぎ、指示どおりの成果物を作るという基本的な部分を改善してほしいところです。